岩手型復興住宅「イーハトーブの家」と 「イーハトーブの夢・築き隊」

岩手型復興住宅「イーハトーブの家」と 「イーハトーブの夢・築き隊」

 当事務所はいわて地域型復興住宅「イーハトーブの家」生産・供給グループ「イーハトーブの夢・築き隊」の代表事務所として、岩手にふさわしい復興住宅の供給を推進しています。

 「イーハトーブの夢・築き隊」は、「岩手県にくらす人々の夢を住まいや暮らしのカタチ」としてお届けするために住まいづくりに関連する岩手県の仲間が集まって生まれた地域型復興住宅の生産と供給グループです。

 グループがお届けする「イーハトーブの家」は、岩手の風土・人・文化・資源と地域の底ヂカラが結集されて、伝統と先進の技術が共生する結晶体です。私たちは、岩手にふさわしい住まいづくりと地域コミュニティの復興を進めます。

住宅文化の基本は、先人が作り上げた「民家」にある。

 木村設計A・Tの代表で、設計士の私は、大学の卒業論文で「曲がり家」と「直家(すごや)」という、南部盛岡藩と伊達仙台藩の民家の分布や構造について調査していました。農耕馬を所有しながらも地域性による暮らしの違い、時代による生活形態の変化と構造の変化、気候風土に合わせた備え等を調査するにつれ、民家は住宅の根本であるという思いを強くしていきました。

 設計士として、公共工事や住宅設計を手掛けるようになってからは、文化保護審議委員として、寺院や古い商家など、歴史ある建造物の構造調査や時代考証にも携わっていますが、その中で先人達が長い時間をかけて作り上げた歴史や文化など、さまざまに語りかけているものが多いことを実感しています。

 例えば、文化財保護活動に携わっている「花巻・西洋館菊池邸」は、さまざまな構造的特徴から宮沢賢治のイーハトーヴ寓話「黒ぶだう」の中に登場する“別荘”のモデルであると推察されますが、その造りに至った背景、人間関係をたどるとその時代の花巻がいかに文化的でまた西洋文化を咀嚼して日本文化に融合させた転換期であったことがわかります。

 明治期の洋館が、板張りの床や間取りなど、そのまま西洋文化の模写であったのに対してこの「花巻・西洋館菊池邸」では畳敷きであり、脇玄関の存在や中廊下を挟んで分かれる「ハレ」と「ケ」の空間構成は武家屋敷の構成を洋風化したもので、この造りを考察すだけでも大正ロマンを感じさせます。

 花巻に生まれ育ち、宮沢賢治ゆかりの地・イギリス海岸そばに事務所を構える私たちは、建築を通して先人の残した文化を財産として、自分たちの生活にどう活かしていくかを考えるべき時だと考えます。

 「曲がり家」や「直家(すごや)」などの古い建物も、その形や構造には理由があります。暮らし方も、古来より日本では夏の湿気をしのぐために、建具を開け放つことにより、そとと中の空間を一体化させるなどの工夫がなされていました。また在来工法では、壁工法にはない可変性があります。家族構成の変化や生活スタイルの変化胃に合わせて間取りを容易に変えることができるという利点です。風土の歴史という時間が作り上げた伝統工法の利点を生かした現代ならではの住まいづくりというものがあるはずです。

 長く住み・使うものだからこそ、住まう人はもちろんのこと、地域や地球環境に配慮した部材や設計でなくてはなりません。そして設計・建築に携わる者として、私たちは20年から30年後の住宅やその産業や建築業全体のあり方を考える使命があります。

 先人から学び、その培われてきた優れた技術や文化を多くの人と共有を図り、考え、明るい未来を創造すること。それこそが宮沢賢治の思い描いたドリームランド“イーハドーブ”の実現に大切なものだと考えます。

 当社が進める「イーハトーブの家」は、先人の知恵を見直し、地域資源の活用、地域文化の活用、地域にくらす人々による建造、そして時代や生活スタイルに対応する可変性と耐久性を重視し、快適に暮らすことで気がつかないうちに生態や環境に配慮できるような住まいの設計を目指します。

株式会社木村設計A・T
代表取締役/一級建築士 木村 清且

プラン紹介

Aタイプ:時代と時代を継ぐ家

床面積36坪の木造2階建てタイプです。
構造体を2間四方のグリッドで構成し、その中で様々な間取りの検討が可能です。住まう時代の家族構成や成長に合わせた間取りとする事で、住まいの長期的な利用を図ります。

 

Bタイプ:四季を感じる家

床面積24坪の木造平屋タイプです。
家族構成の変化により、将来の増築を見越した構造となっています。増築する際も基本的な間取りの変更がないため、構造的にも容易に増築が可能です。また、下屋部分を利用し、農作物干し場、夏は縁台、冬は暖炉等の暖房を用いた際の薪置き場等、四季に応じた利用が可能です。

 

Dタイプ:海と共生する家

床面積31坪の2階建てタイプです。
2階は将来増築のため、あらかじめ2階床を受けるための梁を設置し(吹き抜け)、家族構成の変化により、色々な間取りの家ができます。いざという時の避難場所にロフトが付いています。ロフトは窓付きとし、非常の脱出口にもなります。自由設計ゾーンを変えると、色々な間取りの家が出来ます。 耐力壁と浴室・洗面・トイレ・土間の位置は変えません。

地域型復興住宅とは

 地域型復興住宅とは、東日本大震災で被災し家を失った方々が、新しい家づくりを進めるときのひとつの指針やモデルとして提供する住宅です。基本的な考え方は、新しい住まいを希望する「住まい手」と地域の住まいの「作り手」が、“手と手を取って”進める家づくりです。

 被災した方々の住まいの再建は、単に住まいの再建だけにとどまらず生活の再建も合わせて行うために、家計負担を軽減できる無理のないものする必要があります。しかし、家である以上は、その基本的な機能に妥協することはできません。一定の快適生活の実現が可能な住まいでなければ家づくりの意味がないからです。基本的に、快適に地域生活が維持できる「地域にふさわしい良質な家」で、しかも家計負担に無理がない「被災した方々が可能な家」が求められます。

 岩手県の被災地等の家づくりを指導・推進する「岩手県地域型復興住宅推進協議会(事務局:岩手県建築事務所協会)では、地域資源である木材から、製材・建材会社等及び住宅生産者グループ等に呼びかけ、「良質で低廉な家」の生産の呼びかけ、その供給に向けた活動を進めています。

 「イーハトーブの夢・築き隊」は、この呼びかけに応じて木材の生産者をはじめ「家づくり」にかかわる多様な事業者と連携して家づくり進めるために、第一段階として県内各地47事業者が連携して「いわて型地域型復興住宅」の研究と開発、そして供給を進めるものです。